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はじまりはじまり

catp4匹+αの猫たちとのありふれた暮らし。
何の変哲もない日々の、ただ過ぎていく時間がどれほど愛しく大事で大切なものであるか、を1匹の猫が教えてくれたあの秋の長い一日から、2ヶ月余経ってようやく今。
-ねえ。もういいよね。
まだ全てを吹っ切って、立ち直ることができたというわけではないけれど、ありきたりの生活に小さな幸せってヤツを見出すことができるようになった証を、少しずつ書き溜めていきたい。それが彼女への供養になるなら…


腰痛で臥せっていた1週間余、夫が家事をそれなりにやっていてくれたのはありがたかった。
正直なところ、修復不可能なほどのすれ違い状態だったのに、身動きが取れなくなってみればやはり二人きりなんだ、と思い知らされたわけで。
ようやく身の回りのことだの食事の支度だのには不自由することなく動けるようにはなったけれど、それでもまだシンクにかがみこむ姿勢が辛いので洗い物は頼まざるを得ない。

寝たきりでうんうん唸っていたら、れいあが突然ベッドサイドにやってきた。
「ぐるるるる?」
…ん?
「くるるるるる、うるるる?うるるるるる」
…大丈夫?って言ってるわけ?
嬉しさ半分、痛さ半分、で少し身を起こしてあごの下を撫でようとしたらちょうど伸ばした右手のあたりに何かがある。
柔らかい感触。つかんでみるとそれはふわふわのボールだった。
「うるるるる!」
どうやら投げろ、ということらしい。
そうかいそうかい。亡くなった愛猫も小さい時はこの手のボールを投げては持ってきて、を繰り返したっけ。
懐かしさに目を潤ませながら、部屋の隅に向かって直径3センチほどのそれを投げる。微かに走る背筋の痛み。
それでも、我が家に来て1ヶ月半。初めて打ち解け、遊びに誘ってくれたのだから、とダダッと走っていくその姿を微笑ましく見守る。
すぐに探し出して戻ってくると、再び私の手元に、ボールをぽとり。
そうかいそうかい。一度だけ、ってわけにはいかないものね。
投げるとまたすぐに戻ってくる小さく敏捷な姿はなんともいえない可愛らしさ。
「うるるる?」
はいはい。じゃ、もう一回ね。今度は少しゆっくり戻ってきてね。
「うる!」
…早い。もう戻ってきやがった。
「うるるるるる?」
投げる度背筋をいやな痛みがぴり、っと駆け抜ける。
でも期待に満ちた眼差しに誰が逆らえようか。
そして、投げ続けること約5分。
投げる→ダダッ→探す(1~2秒)→ダダッ→うるるるる、の繰り返しにとうとう私の背中と腰が音を上げた。
このままでは安静、という状態には程遠い。
…自分だって肩で息してるじゃないのよ。
持ってきたボールを私の側に置くと、れいあはくたり、と座り込んではあはあと息を荒げているが、ボールを持ってほら、とかざすとすぐ立ち上がって催促する。ああ凄まじい体力(執念?)
可哀想だが仕方がない。私だって自分の身が大事だ。
「じゃ、最後よ」
痛さをこらえてもう少し角度大きく上半身を起こすと狙いすまして私は投げた。隣の部屋との境にあるドア、その側には使っていないストーブとキャリーバッグが置いてある。そのストーブと壁の隙間。どう頑張っても猫には入れない届かないその場所へ。
「くううううん」不思議そうに鳴きながら探し回る姿が哀れだ。でも背に腹は変えられない。許せ、れいあ。
それでもしつこく探し回っている様子を見ているうちにうとうとしてしまったらしい。
10分ほどして目が覚めると隣に、小さな寝息。
天使のようなその寝顔は本当に無邪気な子供のそれ、で、また亡くなった愛猫の子猫時代を思い出してしまう。
昨年は本当に泣いてばかりだったけれど、今年は今いる4匹+αと一緒に笑っていられればいいな。しみじみそう思わされた冬の一日でした。

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