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「その日のまえに」@腫れた瞼と届かぬ思い

毎週楽しみに見ている番組に、もしも大嫌いなタレントがゲストで出演していたら?-迷わずチャンネルを替えます私は。
そう、まさに昨日がそう。大好きな「愛のエプロン」に大嫌いな女性占い師(もどき?)が現れて番組の雰囲気を一変させてくれやがりました。最悪。
どうにも我慢できずにリモコンを手に取ると、どこの局もろくな番組をオンエアしていない。
こういう日は大人しく家事でもするか、もしくは本でも読むか。

で、後者を選んだ私は、うさぎのように赤い目で花粉症患者のように鼻をすすりながらこれを書いています。
僅か1時間そこそこで読了したその本は。

「その日のまえに」(重松清著 文藝春秋刊 1500円)

図書館でも私の前に予約者が2人いたそうです。わかります。新聞などの書評でも概ね好意的に紹介されていたのは知っていましたから。
でも、読みたいと思ったのはそれら書評を見たからではありません。
書店で実物を見、何気なく手に取ったとき、帯に書かれたこの言葉に心をわしづかみにされました。
「神さまは意地悪だから、大切なひとを遠くへ連れ去ってしまう。」

みもざを喪ってから、幾度となく私は神を恨み、そしり、なじり、よりにもよってみもざを奪うというその理不尽な選択に憎しみさえ抱いたものです。
そう、神さまは意地悪。
どれほど愛しても、慈しんでも、それは何の免罪符にも防御にもならない。その選択に逆らうことは決してできやしない。

重松清さんは、これも図書館で借りた「なぎさの媚薬」で初めて触れた作家ですが、男性向け週刊誌で連載されていただけあって「なぎさ-」はきわどい性描写も多かったにも関わらず何故か素直に感情移入して読むことができました。
返す段になって初めて、「あ、ちょっとカウンターに返すの恥ずかしいかも」と気付き、返却ポストに入れたりしたのですが、別に恥ずかしがることでもなかったんですよね。重松ファンなら決して避けてとおらないはずの1冊なのですから。

主人公の妻が迎える「その日」を中心に、何の関連もなかったはずの数編のストーリーが絡み合ってひとつのラストシーンへと結びつく。
私がみもざのために流したいろいろな種類の涙と同じだけ、あるいはそれ以上の数の涙をこの1冊の本で見つけました。
夫を失う妻、妻を失う夫、友人を亡くした男、母を失おうとしている息子、そして母を失った子たち。
彼らを取り巻く暖かな傍観者も含めて特別な人は一人も登場しません。市井の、どこにでもいるような、そういう人たちのさり気ない感情が淡々と綴られているだけなのに、読んでいて何故こんなに惹き付けられるのだろう。

昨日までは恩田陸さんの本を読んでいたのですが、対照的なほどこの人の作品には「市井の人」は登場しません。
するすると滑るようにこなれた風情の文章によって描き出される眉目秀麗なヒロインやヒーロー、脇役にいたるまでその容姿は端麗であったり、秀でた能力を持っていたり、と重松文学とは程遠い、現実感を伴わないお話のオンパレード。
どちらも大団円や大どんでん返しなどがない、という点は似ているかもしれませんが、恩田さんが「そのお話の情景描写がしたいがために書くから結論は重要ではない」という印象を与えるのに対して、重松さんのそれは「周到に練られた必然的な結末」のために文章を積み上げている、そんな感想を抱かされました。

さて話を戻して。
妻を失った夫は四十九日を過ぎてから、彼女のターミナルケアを担当したナースさんに妻からの手紙を手渡されます。
その内容は…ネタバレになるので敢えて書きませんが、これも重く心に響きました。

みもざはどう思っているのだろう。
彼女を偲び、ほんの些細なことを引き金に悲しみに打ちひしがれさめざめと、時には声を上げて泣く私を彼女はどこかから見ているのだろうか。
もしそうなら、どんな思いで?…聞いてみたいけれどそれは叶わぬ夢。
忘れることなんかできやしません。忘れてほしいなんてきっとみもざも思っていないはず。そうだよね?

話はガラっと変わって。
今、デジカメが無性に欲しくてたまりません。
古~いソニーのサイバーショットと、ハンディカム(ヨン様仕様→あくまで偶然の選択です)、そしてデジタルではないEOS-KISS、があるのですがどれも帯に短し襷に長し。
というわけで、コンパクトで高性能なデジカメをとりあえず、そして経済的に余裕が出ればデジタル一眼を、と考えています。
ハンディカムはみもざを撮るため急遽購入したものですが、実際みもざがいなくなってからはほとんどビデオカメラとしての役割は果たさず、デジカメとしての用途が主。
そうなると画素数や機能に物足りなさを感じるのは言わずもがな、でやはり餅は餅屋なんですね。
機種はほぼ選定。今週末家電量販店で実物を見て決めようと思っています。
今からとても楽しみ。いい出会いがありますように。

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連作短編集で、「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」の3つの連続作品の中に、それまでの話の登場人物が微妙に絡んできています。 この作品で扱うのは若くして死と向かい合わないといけない家族です。誰でもいつかは死ぬのだけど、なかなか仕事を... [続きを読む]

受信: 2005/10/30 17:31

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