美しい国を目指す美しくない内閣
柳沢厚生労働大臣の「女性は子供を産む機械」発言が波紋を広げている。
個人的に社民党は好きじゃないけれど、今回に限って言えば福島党首の「そもそもこの人は自分が何を咎められているかすら理解していない」という主旨の意見は的を射ていると思うし、辻本清美議員のあの怒りの表情からはお得意の「してやったり」的なそれ、が見られなかったことからも本当に彼女たちは怒っているのだろう。
そもそも、大蔵官僚上がりで経済財政事情しか明るくないこの人を厚生労働大臣に指名した時点で安倍内閣は少子化問題を「機械的に」「数字的に」処理することを念頭に置いていたとしか思えない。
柳沢氏の発言を受けて自民党の高市議員が「産めない私は不良品なのか」と不快感を露わにしたが、正に安倍内閣の少子化対策にあっては必要なのは出生率の上昇だけだ。
「何故女性が子供を産まなくなったのか」ではない。
「何故女性は子供を産むと言う選択肢を取らなくなったのか」ということについて考えようという気概がこの内閣からはどうにも感じ取れないのだ。
美しい国、日本。
安倍首相の目指す美しい国、って何だろう。
そもそも2世議員で何一つ幼少時から苦労をしたことがない人間に、国民の痛みの何が理解できるというのだろう(議員に限らず、同族企業の2世、3世社長はその能力が創業者に劣る傾向があると私は思う)。
小泉純一郎だってそうだ。2世どころか3世。その上自分の家庭ひとつ守ることができなかった。
そういう人間が国を治め、その結果今の日本は格差社会と呼ばれる弱者に優しくない国になってしまった。
極論だけれど、今の政界に期待できないならいっそ爆笑問題の太田やビートたけし、島田紳助などに政党を組織させてみてはどうだろう。
自分の力で、知恵で今の地位を築いた人間こそが今の日本のあり方を冷静に見つけることができるだろうし、弱い者の生き様を知っているからこそ弱者に優しい政治ができるはずだ。
これも極論だが官僚出身者と2世、3世議員を閣僚から排除する。
これだけで内閣はかなり風通しがよくなり、驕る官僚に与することもなくなると思うんだけど。
柳沢厚生労働大臣は恐らく辞任しないだろう。内心では己の非を認めない-気づかない-まま、形どおりの謝罪を繰り返しほとぼりが冷めるのを待つ。
任命責任を持つ安倍首相も同じ。首をすくめたまま嵐が過ぎるのを待つ腹積もりなのだ。
ここを乗り切ったら、なんて甘い考えを抱くのは大間違い。このまま辞任させなければ支持率低下は間違いないのだから。
そういう意味では情緒的なものの考え方ができない、最もそのポストに相応しくないといっても過言ではない人物を厚生労働大臣に据えた安倍首相が最大の加害者なのかもしれない。
その結果馬脚を現してしまった柳沢大臣と彼の家族が最大の被害者なのかも…