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風邪が治ったので風を感じてきました

観てきました。「風が強く吹いている」
で、長いですが感想なぞ。

原作を読んだ人がこの映画を見たら評価は真っ二つに別れそうだ。
というのも、原作ではキーワード的だった台詞が見事に抜けているシーンが多々あること。
そして最大の争点(?)はラスト(ゴール)シーンだろう。これは原作と明らかに違う。
(どこが違うかについてはあからさまなネタバレなので隠します)

だが、基本的には原作にこれほどまでに忠実な作られ方をした映画を見たことは、少なくとも私は、ない。
そして、原作があったからこそ感動できた部分―所謂補完効果によって―と逆に白けてしまった部分とがあった。でも概ね前者が多かったから、私は原作を読んでからの鑑賞が効果的だと感じたわけだ。

以前見た洋画で、実は今回と全く逆の経験をしたことがある。
非常にこれまた原作に忠実な流れで進むストーリー。だが当然洋画なので字幕。耳にした台詞自体意味を成さない存在なので、限られた字数でしかキャストたちの言葉はわからない。
事前に原作を読んでいたことが、このときはマイナスになった。というよりプラスにはできなかった。
というのも頭の中で膨らませた登場人物たちは日本語で、つまり饒舌だったから、字幕での寡黙さがどうにも我慢ならなかったのだ。

今回は、キャストは当然日本人(一部違うけど(笑)→この(笑)の意味もネタバレなので後で))で、言語は日本語。
しかもメインキャストの半数以上は既知で、更に言えば事前にメディア露出の多かったことや、観たあとの感想などを調べていたこともあってある程度寛容になる覚悟(?)があったことも大きかった。

これ以上はどう書いてもネタバレなので・・・続きはクリックしてご覧ください。ただし、何の先入観もなく映画をこれから観たい方はゼッタイにクリックしないでね。

今日、コミックス版をまとめて5冊買った。
オンライン書店などでは入手困難だそうだがそこは田舎のアドバンテージ(?)、全巻揃ってたもんね~!
ちなみに、原作、映画、コミックス、を通じて一番キャラにブレがあったのは意外にも榊だった。
コミックスでは全体的にキャラが皆デフォルメされているけれど、うん、ハイジは映画版が一番好きかもしれない。小出クン云々ではありませんよ。念のため。

最大の争点、とまで仰々しく書いたのはラストの10区でハイジに起きた異変の描き方。
原作ではカケルしか気付かない。ハイジは故障を気取られないよう必死にポーカーフェイスを保つが微かに見せた綻びにカケルだけが気付く。それこそが二人に結ばれている強い絆というかシンパシィだったのだが、映画では立ち止まってしまう。
正直あれはやりすぎだ、私はそう思った。
このシーン、原作を読んでいない方には号泣ポイントだったろうが、私は逆にそれまでの涙が一気に乾いてしまった。
現実問題として、あれだけ実際にブレーキとなってなお、東体大に2秒差をつけて逆転…どれだけラスト1キロまででハイジは榊に差をつけていたのだろうか。そこはやや現実味に欠ける。
また、シード権獲得をハイジのモノローグであっさりと済ませたことは恐らく「目的はそれではなかった」的効果を出したかったのかな、とも思ったのだが、こちらは逆にもっとアピールしてもよかったのではないか。
10人で襷を繋ぐということだけが目的という、精神論的な結末にしたかったのかもしれないけれど、ユキの「タイムは!」という台詞はあるべきだったと思う。
ここからは思いつくままに書くけれど、ユキと言えば、区間賞を逃した時双子にかけた「その2秒は・・・」この言葉も使って欲しかった。
また、彼がカケルの視点を感じるシーンでのモノローグももっと重みがあってよかったし、何よりも富士屋ホテル前での出来事はリアルに見てみたかったな。義父は國村準、母は田中好子なんかどうだろう。
ムサの、映画の中での小ネタ―話がかみ合わなかったのは言語の問題か?それとも・・・―は確かに面白かったけれど、マスコミが留学生として十把ひとからげにした時のエピソードやそこでの神童の電話のシーンだって十分感動的だったと思う。
双子、特にジョータに芽生えかけた自立心やジョージへの思いなど、走りながら描かれるモノローグが全体的に短かったことが全てで、ただあれだけの原作をたった2時間余で描くのだからこれは仕方のないこと。わかっちゃいる。
で、そう、ここで原作を読んでいたことが吉と出るか凶と出るか、の分かれ道になるわけだ。
あれがない、これがない、と引き算で観た人は厳しい採点をするだろう。
でも、私は原作を脳内で補完しながら映画を観た。映画にポイントを重ねながら観ていった。
スクリーンこそ出てこないけれど、彼はこう思いながら走っている。こういうやり取りが実は裏であった・・・
それが可能なほど、各キャラクターは原作に忠実に描かれ、概ねシチュエイションも原作どおりなのだ。

それでも、エンドロールの3年後、にはちょっと文句を言いたい。
あれじゃ何もわからないよ。
原作ではカケルが卒業してハイジがコーチを勤める小さな実業団に入っている設定だ。ところが映画ではそうではないらしい。
皆卒業し、誰がどんな人生を歩んでいるかまでは親切に教えてくれていないのは原作も映画も一緒。
むしろ原作でもあの中途半端なラストは蛇足だと感じたから、いっそコミックスではそれを全て明らかにしてくれないかな。
ユキは明らかに弁護士の卵だ。でも他は?うーん、知りたいかも。

100点満点で90点つけます。マイナスのうち8点はエンドロールで、2点は10区のハイジの故障。
ご覧になった皆様、いかがですか?

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