愛しのダニーボーイ
黒猫クロを診察台に載せ、固唾を呑んで見守る。
先生は徐に耳の中を見ると、即座に顔をしかめた。
ピンセットにつまんだ脱脂綿で耳の中を拭うと、それをプレパラートに擦り付ける。
その時点で私にも大体のことは理解できたのだが、それを覗き込んだ先生が私を手招きした。代わって顕微鏡を覗く。
「うぎゃああああ!」
・・・いや、マジで叫びましたよ。だっているんだもの、うじゃうじゃと。ていうか見せるか普通?
かなりここまででかきむしっているらしく、外耳がただれて皮膚病になっているとのこと。
取りあえずレボリューション、そして後は処方されたセリューマイトでこまめに拭き取っていくしかない。
恐らく同居猫たちも感染しているのではないかと思われるが、触れるほうの子はいいとしても問題は家庭内野良の子だ。
彼女が感染していたらもう目も当てられない。クロが完治してもまたそこからもらってくるからだ。
一生懸命耳の中を覗き込んでみるがわからない。それならもう見切り発車だけどレボを出してもらおうかな。夜ならなんとか背中にたらすことができるかもしれないから。
そもそも。
近所のボランティア団体のお手伝いで、半野良の子猫を病院に運搬した際に私の体のどこかに付着していた、としか入手(?)経路が考えられない。
でもねえ、上着からトレーナー、ジーンズ、靴下、靴に至るまで、帰路の途中ですべて取り替えたのに。それでも落ちないのだから、相当あいつらもしつこい。
取りあえずクロをダニーボーイにしてしまったのはこの私だ。責任は大いに感じている。
完治するまでの間、これまで以上にかわいがるからね。でも一緒には当分寝ません。あうううう。
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