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いよいよ、だ

退職していく従業員の中に、かなりのイケメンであるにも関わらず女っ気のない子がいた。
割と頑ななタイプだったが、10年近く一緒に働いているうち、ようやっと心を開いてくれるようになったのはつい最近のことだ。

野球の話と仕事の関連の話くらいしかしなかったが、野良だった猫が懐くとなおいっそうかわいい、という表現がぴたりとくる感じか。人懐こいがどこかはにかんだ笑顔は本当にさわやかだった。

そして、いよいよここを離れるという日の朝、彼は他の退職者同様挨拶に訪れ、健康保険証を返すと小脇に抱えていた2つの包みをぞれぞれ家人と私に手渡すではないか。

菓子折りを持ってくる子は時折いる。先だって退職していった子も、私だけに小さな洋菓子を置いていった。
でも、手渡された包みはどちらも薄いビニールの袋に入っていて明らかに布、というかニットの手触り。

袋の面に札幌のデパートのシールが貼られているのを見て思わず泣きそうになった。わざわざ買いに行ってくれたのだ。何て律儀な子だろう。
確かに彼の転職に当たっては多少は尽力した。でもそれは立場上当たり前のことだ。

開封してみたら、家人にはカシミアのセーター、そして私のはやはりカシミアのマフラー。どちらも決して安くはない。
どうしよう、もったいなくて使えないかも。いや、でも彼は使って欲しいと思っているだろう。だから、次に彼の職場のそばに出向くときにつけていこうと思う。本当に嬉しかった。あんな子が息子だったら、そんな風に自分が思うことが自分でもとても意外だった。

仕事においてもプライベートにおいても、状況がめまぐるしく変わり、何がなんだかもうよくわからなくなってきた。
やることが多すぎてもうどうしていいものか。
ひとつひとつつぶしていかなければならないけれど、それでも何か忘れていそうで怖い。
トップが○○だから、こちらがいろいろと被らなければならないという辛さ。そして家人もほとほとのんびりし過ぎで実は内心イライラしている。
だからお尻を叩いて、でも叩きすぎると拗ねる(?)から頃合が本当に難しいったらない。
とりあえず今来ている話は絶対にまとめたい。そのために何をすべきで、私に何ができるか。無い知恵を振り絞って頑張ろう。それしかない。現状は少しでも早く打破したい。

今回の件でとにかくお世話になった方に何かお礼をしたいと考えたが、その人のプライベートが何一つわからない。共通の知人2人にお知恵を拝借しよう、と電話して聞いたら、どちらからも「酒」と答えが(?!)
ただし、一人はワイン、一人は日本酒、とおっしゃるではないか。
結局、どちらの意見も採用し、前者はボルドーの赤のフルボディ、後者は山口のあの地酒を何とかオンラインで購入。もう少し諸々が片付いたら持参して深々と頭を下げる予定だ。

そもそもはお金か商品券か、と考えていたけれど、どうもこの方、そういうものが目当てで動いてくださるわけではなく、習い性、というか人助けをして感謝されたい、という気質らしい。
それならもう、感謝だけなら海よりも深くチョモランマよりも高くしているんだけど、やはり多少は形にすべきだろう。

うちのトップこそが本当は頭を下げに行かなきゃならないのに、本人はそんな気はさらさらないらしい。つくづく思う。人生は不平等だ、と。
・・・これ以上書くと腹が立ってくるのでやめるけれど、とにかく、そういうことです(?)

今日のこの日にいろいろな方からいろいろなお言葉やメールやモノをいただく。そのそれぞれに感謝しながら思いをかみ締めている。

明日はみもざの命日だ。花を買ってこなければ。
そして今日は義兄の命日になった。朝、逝ったそうだ。花を頼まなければ。家人は葬儀にはいけないから。本当にごめんなさい。

大好きなお魚とケーキ、そしてお花。明日は最後の賑やかな夕飯なので、あなたを思ってしんみりと・・・というわけにはいかないけれど、あなたは人見知りしない子だったからきっとお客の間を飛び回ってはおこぼれを頂戴しようとしているだろうな。

本当に、いつ落ち着くのだろうか。でも落ち着いたら家人も私もガクッと来てしまいそうでそれはそれで怖い。

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