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本を読みました

今日も蒸し暑い。湿気の多さに閉口しつつ、久々に図書館で借りてきた本を読んでいたら、これが思いがけず面白くてつい夢中になってしまい、気づくと読了したときには汗だく。本を読むことにもエネルギーは使うらしい。

「ブラッド・アンド・チョコレート」菅原和也著(東京創元社)

・・・面白かった、というのは語弊があるかもしれない。先を読みたくてつい、という感じ。そしてラストは意外な幕切れになり・・・

以下、ネタバレ含みなので、続きを読む、からどうぞ。

実はもう一冊借りていたのだが、それは昨日読み終えた。

「エミリの小さな包丁」森沢明夫著(カドカワ)

こちらはネタバレも何もない。強いて言うなら序章終章か。確かにあの始まりにはドキッとさせられたから。

都会で傷つき、全てを失った25歳の「女の子」が、海辺の漁師町で一人暮らす祖父の家に転がり込み、二人で生活するうちに祖父から教わる料理を通して自分を取り戻していく。あらすじはこれだけで足りてしまうけれど、この祖父の人物像が魅力的なのだ。

正直、ヒロインにはなんら感情移入はできない。もちろん世代の違いもあるけれどそれ以上に魅力をあまり感じないから。

鄙びた町で穏やかに暮らしていたのに、都会から来た「毒」の所為で彼女は思いがけない悪意に晒されて再び傷つく。でもその傷を傷とも感じさせない祖父の強く穏やかな言葉。当然彼女も涙するが実は不覚にもこちらも涙しそうになった。
自分が弱っているとき(実は今なんだけど)この人が近くにいたらどれだけ幸せだろう。

最初は口数の少なさをとっつきにくさと感じて祖父を近寄りがたく思っていた孫娘も、少ない言葉から次第に彼女への愛情を感じとって二人は距離を詰めていく。
そして、彼女が再び都会へ新たな出発のため戻っていく日がやってくる―

この作者の本をもっと読みたいと思ってamazonで調べてみたのだが・・・うーん、多分どれを買っても面白いと思うだろう。でもどの本も、読み終えたときに同じような感想を持ちそう。それならもういいかな。

初期の栗本薫みたいに、シチュエイションだけではなく作風も全て違うような、そして当たり外れがあってもそれすら面白かったと思えるような作家に最近めぐり合えていない。いや、昔ほど本を読まなくなったのは私の方だから、そういう作家がいても知らないだけなのかもしれないけれど。

現在室温27度。ただ、昨晩に比べて湿度が低い(75%→51%)ので、エアコンはつけているけれど比較的楽に寝られそうだ。
明日も暑いのかなあ。

で、「ブラッド・アンド・チョコレート」。

新興宗教的な「能力研究団体」の所長と教祖とも言うべきシンボル的な存在の彼の娘。この団体へ潜入しようとしていたのは娘の幼馴染である主人公と、彼の従兄弟で自称ジャーナリスト。共通項は二人とも定職を持たず、ふらふらと生きていること。そして共通していないのは、山っ気のあるなし。当然ある、のが従兄弟のほうだ。
山奥にある団体の研究所に、超能力を持つ(もちろん嘘)青年とその保護者として首尾よく潜入できた二人だったが、いとも簡単に嘘は見破られてしまう。

窮地に陥った二人の前に潜入の目的だったその娘が現れ、自分が招いた客だと研究所内の人間たちに宣言して、とりあえず彼らは救われ、一晩はゲストルームで過ごすことに。

そして、その夜所長が首を切断されて殺害され、密室だった現場のあるフロアに入る鍵を所長以外で唯一持っていたのは娘だった。

・・・とここまでが導入部かな。
この団体は超能力を研究するために設立されたのだが、所長はコントロールできない超能力を持ち、自分や他人の能力を研究して解明しようとしている。
共同経営者とも言うべき存在の男は、団体を金儲けの手段と考えている人物。
そこに超能力者を装う手品師だの、人の心が読めるというふれこみで、実際は相手の背景を徹底的に調べることで情報操作してそう信じ込ませる能力に長けている女性、学校で虐めに遭い、過度なストレスに寄って透視能力が目覚めた少年とその母、など様々な登場人物が。

主人公が探偵役となって事件を解いていく、というステロタイプのラノベだと高をくくって読み進めていくとラストでとんでもないどんでん返しが訪れるのだが、その出来事がある意味不条理であり、腑に落ちないままページをめくると更に思いがけない顛末が待ち受けている。

誰がホンモノの悪なのか。何が罪なのか、罰は何なのか。
天罰、といわれてしまえばそれまでだ。しかし主人公を含め、全ての人物のキャラクターが薄いからそういったことも含めてすべてにおいて説得力に欠けるのだ。
筋立ては面白い。着眼点も目新しい。でも、描写が追いついていない。
この人のプロットで栗本薫さん(初期の)が書いたらキャラを掘り下げて描くだろうから最低でも上・下巻の2冊にはなるだろうな。
・・・それの良し悪しはさておき、読了後の後味の悪さと腑に落ちなさは久々に味わったものだった。

お読みになりたい方はどうぞ。だからこそ敢えて結末は書きません。

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