終わったか・・・

「アンナチュラル」が終わった。終わってしまった、というべきか。
同じ法医学モノの「きらきらひかる」も好きだったけれど、こちらは原作があった(主人公が女性に変わっていたり、オリジナルキャラが増えていたりとかなり改変されてはいたが)。でもアンナチュラルは完全オリジナル。脚本家野木亜紀子さんのアタマの中で描かれた作品だ。

逃げ恥にハマった人は(私も含めて)まず脚本家の名前に惹かれて初回を見たことだろう。
そもそも医療モノが好きだったこともあって、ダブルで期待していたけれど、その期待を裏切るどころか更に上回るデキに、びっくりさせられた。
初回は録画を失念していたので慌てて2回目から毎週録画予約をかけたが、2回目以降、各回何度見返したことか。
(ちなみに、amazonでも有料コンテンツとしていつでも見られる。そのうちCSで一気に再放送するだろうから、その時こそ逃さないで録画しよう)

実は、中堂役の井浦新がどうにも好きではなかった。叔父と姪の禁断の恋愛を描く悪趣味なドラマで全く魅力の無いヒロインのこれまた自己中な相手役を演じているのを偶々見てしまってから、外見も含めて好きではないどころか嫌いな男優トップ3に入るくらい、そうどちらかと言えば避けて通っていた人だった。

でも、このドラマでの役柄がそもそも人好きのするタイプではないということもあり、相乗効果で逆にヒロイン石原さとみへの感情移入がしやすくなった。
更に彼が持つ、実はヒロインと通ずるもののある倫理観と、理不尽に恋人を殺害した犯人への復讐心とが回を重ねるごとにあぶりだされていくのを見ていたらいつしか嫌悪感も消えていたから不思議だ。実際、ヒロインに感化されていく様子は実にその加減が見事で、この脚本家の人物描写は細密かつ大胆だとうならされてしまった。

松重豊演じるUDI所長の存在がドラマに与える重厚感も大きかった。
仲間、だった大杉漣さんご逝去の報と時を同じくしてのオンエア。そこに東日本大震災の現場にいたという設定も重なれば、もちろん脚本上のセリフであるのだけれど、彼の一言一言が幾度と無く楔を打ち込んでくれた。
最終回で、検察に対して切った啖呵と、後の法廷でのヒロインと彼らとの利害の一致、そして初回の東海林のセリフ―ウォーキングしないデッド(!?)―、諸々含めて、このドラマでは、張り巡らされていた伏線が次々回収されていく爽快感まで生み出され、あまりにすっきりとしたラストに言葉ももう出なくなるほど感心させられてしまった。

久々に見た国広富之、正直演技は下手だったけれどいい味出していた(笑)ずんの飯尾和樹、「何か、ある」と最後の最後まで思わせた葬儀屋役の竜星涼、結果美味しいとこ取りの池田鉄洋、そしていつしかお母さん役が定着した薬師丸ひろ子等々、脇を固めていた役者たちもそれこそ適材適所で、キャスティングをした方の慧眼ぶりにも脱帽だった。

ぜひ続編を作ってほしい。きらきらひかる、もSPがあったが、そう連ドラでなくても構わないから、もう一度彼らに会いたい。
ただし、コードブルーの二の舞だけは勘弁して欲しい。石原さとみ演ずるヒロインの恋模様―六郎と中堂の間で揺れ動く、とか―なんか間違っても描かないで欲しい。
まあ、この脚本家ならそんな野暮なことはしないだろうけれど。

だからこそ、ブルーレイボックスは買わないつもりだ。
どうせNG集や、ドラマの裏側、みたいな特典映像がついているだろうけれど、それを見たいとは正直思わない。
それだけ、ドラマでの各キャラクターが好きだから。あのドラマの世界を壊して欲しくはないから。
それにしても石原さとみ、って本当に魅力的な女優さんだ。つくづくそう思わされた。


ユニクロのオンラインショップで買ったホワイトデニム(など)が届いた。実店舗でも白いシャツやロングカーデなどを購入。今春はもう洋服は買わないつもりだ。
5月の帰省の時にはすでに東京は夏服が必要になっているだろうから、それまでに住めない自宅から薄手のニットなどを持って帰ってこなきゃ。
季節は徐々に春めいてきているけれど、相変わらず私の心の中は冬のまま。
いつか暖かくなる日は来るのかな。なんてね。

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終わったか

モヤモヤとしたものだけを残して、この夏一番注目を集めていた連ドラが終わった。

あら探しをしたくてしているのではないということだけは書いておきたい。でも、目に付くから仕方がない。

あの現場において、一人泣いている子供を何故レスキュー隊などは放置しているのか。真っ先に保護して安全確保するなり保護者を探すなりするだろうに。

さんざっぱら引っ張っておいて、藍沢は全くの無傷。あれはない。
―いや、主人公が最終回活躍できないなんてことがあってはならない(私の予想が外れてよかった)わけで、それなら何故あんな引っ張り方をしなければならなかったのか。
それが視聴率アップのために使われたシチュエイションだったとするならば、あまりに視聴者をバカにしている。

冴島の発言の揺れも、現場でパニックになっていたから、というレベルで片付けられる話ではない。彼女の人格そのものを疑ってしまいたくなるほどだ。
振り回される藤川。実は彼のキャラだけがぶれていなかったような気がするのは私だけ?

名取の父親の翻意だってそう。それによって緋山自身の進路があっさりと変えられてしまうくだりには呆れてしまった。
その緋山は、恋するオンナと化し、キャリアは失っても恋人を取り戻すことに成功する。
救命に残っても名取、恋のレースには敗北(笑)

ピアノ少女は・・・もう書きたくもない。

結局誰一人欠けることなく・・・おっと、主人公がトロントに行くんだっけ。
年明けに出発するのなら年内はいるわけだ。せいぜいフェローたちは優秀な藍沢から技術や知識を盗んでおかなければ。

揶揄したかったわけじゃない。期待していた分、裏切られた衝撃が大きくて、最後まで一度も泣かせてくれなかったことも含めがっかり感はどうにも拭えず、ある意味恨みがましい気持ちさえ抱かせてくれた。

そして、だ。この駄作(敢えてこう書く)を踏まえるのか否かはわからないが、コード・ブルー、2018年映画化ですって。

その直前のクイズ番組にドラマの出演者が出ており、番組の終了時にそれをにおわすような発言が出ていたので嫌な予感はしていた。

いや、いいんですよ。映画化したって。でもそれは3rdシーズンを踏まえた状況下で、しかも脚本家も同じ、というのなら、少なくとも私は見ないだろう。絶対にがっかりさせられるから。

今回のシーズンは、制作サイドの大きな誤算から立ち上げられたものなのだろうと推測する。
人気のシチュエイション、キャストを使って、違った側面から新たなシーズンを立ち上げ、新たなファン層を掘り起こす。そのために、これまでほぼ描かれることのない恋愛をも主軸のひとつにおいてみよう。
そうなれば脚本も、今までのライターではなく、恋愛モノに長けている、そうだ女性にしてみようじゃないか。

・・・企画会議の内容をこんな風に邪推してみたが、強ち間違ってはいないのではないかしら?

映画化するなら、もう一度初期シーズンの脚本家による本格的な医療ドラマとして制作してほしい。間違っても、映画が完結編で、そこで藍沢と白石が結ばれる・・・なんて陳腐な作品にはしないでほしい。などとここで書いてもどうにもならないのだけれど。


ふうん、解散総選挙か。
野党がダメージを受けている間隙を縫って、己に降りかかった火の粉を払いのけるためにも一気にやっちまおう、という腹なのだろうけれど、いいのかな?北朝鮮のあの状況下にあって政治的に空白期間が出来てしまっても。
小池都知事も仰っていたが、どういう大義名分でこの選挙、するのかしら?
選挙ってかかるお金も地方の負担も大きいのに。

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今更だけど。

さて、コード・ブルー。

いよいよ次回は最終回だが、キャラ無視医療監修無視(かどうかはわからないけど)前シリーズまでの流れ無視、だった脚本家が急に前作までと同じ路線、すなわちメインキャストの誰かを傷つけて大騒ぎ、へと舵を切った。

その誰か、がよりによって主人公だなんて。

崩落現場において、安全確認もろくすっぽ取れていないような箇所へ行かせるか、消防署もレスキュー隊も。
そしてあの現場で、よりによって冴島にあのセリフ言わせる?

脚本家のアイディアなのかプロデューサーの差し金なのかはわからないけれど、あまりにも展開がお粗末に過ぎる。

ピアニストの少女に責任を感じる藍沢。緒方との恋に浮かれる緋山。割とブレていない藤川はさておき、冴島は言わずもがな。そして白石は・・・この人、今回は全く魅力が感じられないキャラになってしまった。
感情の揺れ方がどうにも薄っぺらい。何をどうしたいのか。どうやって黒田の作ったチームを超えようとしているのか。

橘だってそうだ。息子が移植を拒否?本人の意思を尊重したい?んなバカな。
臓器提供者や、優先順位次点の待機者の身にもなってみろ。ふざけるな、な話だ。
しかも彼の馬鹿げたとしか言えない逡巡を断ち切るのは緋山。あまりにも当たり前に彼女が当たり前なことを言うのでむしろ拍子抜けしてしまった。

その橘がチーム白石、を褒めた直後からそのチームが崩壊していく。取ってつけたような出来事が次々起きて。

灰谷のPTSDも理解に苦しむ。精神科の領域ではなく、彼にはヘリ事故の責任がないことを何故白石は納得させられないのか。
名取の父親があまりに俗物でびっくりした。中堅俳優クラスを配して、もっと説得力のある息子回収策(?)を講じてほしかった。ありゃないよね。前シリーズならもっと時間をかけていた事案をたったあれだけのボリュームで終わらせてしまうなんて。
で、肝心の名取と言えば、緋山のいない救命には未練はない、と事実上の愛の告白。なんだそりゃ。
緋山を浮かれさせていた緒方は、足手まといになりたくないから、と一方的に緋山に別れを告げる。ふうん。名取、チャンスじゃん(笑)

これは穿った見方かもしれないけれど、緋山を引き抜こうとしている元上司とやらは名取の父親の旧知だとか。それも関係あるのかもしれないぞ。息子のヘマの穴埋め、なんて思惑があったりして(?!)

・・・とここまで、つらつらと不満を書きたててきたけれど、でもまだまだ書き足りないけれど、もうここまで来ちゃったからなあ。

最終回、私の予想

・藍沢は瀕死の状態。瓦礫を取り除いて白石たちが助けるが意識不明でヘリ搬送
・現場に医者が足りないと請われ、灰谷はヘリに飛び乗りPTSD克服
・名取は初めての反抗期で救命残留
・緋山もちょっとケガをして、それを心配した緒方と復縁
・藤川はヘリから降りない。冴島は新たな妊娠が発覚して引退
・ピアノ少女は藍沢重体で目が覚めて、今後を冷静に考えるように
・橘息子移植成功、三井現場復帰
・藍沢奇跡の覚醒、でもトロントどころじゃなくてそっちは新海が行く
・藍沢リハビリ。傍らに白石。今後を予測させてend

・・・こんな感じでどうでしょう(笑)どのくらい当たってるかな?
あ、梶さんが別の病院に配置換になっていて、そこのドクターヘリで現場に来ていて白石たちと遭遇、なんてエピも欲しいところだ。
だって、どの話か忘れたけど、橘が出動要請の電話に向かって『○○(忘れた)のヘリは?』って訊いてたから、きっと近隣にもヘリのある病院はあるんでしょ?

最終回だけ見る人も少なからずいる(私のように)し、多分それなりの数字は取れるだろう。
でも。あの硬質で良質な医療ドラマを、へなへなに軟弱で下世話な恋愛ドラマに変えてしまった罪は重いぞ。少なくとも私はもう二度とこの脚本家と、プロデューサーの名前も覚えたから、この人の関わるドラマは見ない。
ちなみに、あのドラマの公式サイトにおける視聴者からの「メッセージ」、批判的なものは一切掲載されない。
私も送ったが全く無視。あれじゃ独裁者の洗脳手段と同じじゃないか。これがフジテレビのやり方なのだ。

・・・だから、凋落してしまったんだろうな。ホント、今はテレ東の方がよほど良質で面白い番組を、しかも低予算で作っていると、少なくとも私は思う。

あの脚本家は本当に貧乏くじを引いたと思う。多分その人の一存であそこまで酷い進路変更はできないだろうから、制作サイドの意向がかなり大きかったのだろうと推測する。
でも、実際に書いたのは彼女だから、前シリーズまでのコード・ブルーのファンからは恨まれ憎まれるわけで。

もう一度もとの脚本家に書いてもらって、SPでもいいから彼らのその後、が見たい。
林さんが書くなら、山Pとガッキー、もとい藍沢と白石が結婚しちゃってても構わないから!(え?!)

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ダラダラと感想など

今更ではあるが、ドラマ「コードブルー」をSP、2ndシーズン、とFODで視ている。
1stは正直視たくない。フェローたちの右往左往ぶりは正直視ていて辛かった。そう、1stはリアルタイム視聴だったけれど、どうも2ndは録画だけして視ていなかったようだ。だから、今視ていてとても面白い。

実はいろいろ不満はある。
まずは医者たちの髪型。特に白石と緋山。前髪が鬱陶しい。何なら患者に触れていることすらある。不衛生極まりない。
藍沢だってそうだ。彼の場合は前髪だけじゃない。あのぼそぼそとした語り口調は救命の現場にそぐわないばかりか、時間の無駄遣いだ。

・・・まあ、ドラマだから。そう考えれば仕方ない。妥協点を自分の中で見出さないとストレスがたまってしまうのはこのドラマに限ったことではないのだが。

それにしても、この局の医療ドラマと言えば「救命病棟24時」や「医龍」といったシリーズがあるけれど、意外なことにジャニーズ枠(?)のこのドラマが一番臨場感があるように感じるのは私だけ?

フェローたちの成長ぶりは2ndでは目覚しく、特に藤川が一丁前の口を利いて医者がましくなっていたのには驚かされた。
意外にも、強さと優しさを最もバランスよく持っているのは彼だったりするのかもしれない。

このドラマ、全てのシリーズ、回で共通しているのは決して有名な俳優をゲストに迎えるわけではなく、無名の、それこそ視たこともないような人たちが重要な役回りで長ゼリフの演技を見せるということ。
例えばアルペンの選手だったり(白石がこの選手の娘にボルトのネックレスをかけてあげたのはちょっと問題があるかと。あれだけ先端が尖っていたら転んだりした際に危険では?)、最終回では墜落した飛行機の機内に取り残された息子と、それを置いて逃げた父親とか。

そう、SPで藤川と一緒に負傷者を救った救急隊員細井だってそうだ。
まさか、の結末には涙を禁じえなかったけれど、この演者さんだってこれまでテレビなどではお見かけしたことのない方だ。

現在このドラマは3rdシーズンが、このクール一の数字を叩き出しつつ絶賛オンエア中だけれど、更に成長したフェローたちが新たなフェローの指導医になって、悪戦苦闘している様が描かれていて、7年という時が彼らにも流れたことが自然に理解できる。
脚本家が変わったことを懸念していたが、全く違和感がなくて、安心した。

7年の間に藤川と冴島が恋愛関係(多分)になっていたり、藍沢の黒田化(笑)が一層進んでいたり、橘と三井が復縁していたり、と変化もあったこともごく自然に表現されていた(それにしても森本と轟木はどうなったのか?)。

で、その新たなフェローたち3人がまた揃いも揃ってポンコツ(?!)と来たからなあ。
何でまたこんな3人がフライトドクターを目指すのか、という素朴な疑問はさておいて(笑)、3人とも演技が意外に上手だから、今後ドラマの中でどのように成長していくかも楽しみではある。

あ、2ndシーズンまでは児玉清が存命だったんだ。
この方は余人を持って替えがたい存在であることを、このドラマを見るにつけ思い知らされる。
一度だけ、3大テノールの東京ドーム公演でお見かけしたが、長身でとてもステキな紳士だった。

7年経っているから、3rdシーズンで白石の父親はもう亡くなっているのだろうか(2話までにどこかでそれがわかるような伏線が張られていたら私の見落としだ)。中原丈雄もいい役者さんだなあ。

脈絡もなくここまでつらつら書いてきたけれど、やはりこのドラマは面白い。キャスティングもシナリオも、奇をてらいすぎない演出も、そしてもちろん主題歌も、すべてが調和の取れた良質のドラマだ、と私は思っている。
白石と藍沢に恋愛モードは発生するのか。冴島の妊娠も含め、これからの展開が重ね重ね楽しみでならない。

久々に毎週視る月9。そう、こういう硬質で良質な作品を作ってくれたら視ますって、多くの人が。

さ、2nd終わった。3rdの2回目まで、また視ちゃおうかな(バカ?)

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ドラマ2題

大抵の場合、原作本に感銘を受けてから映像化された作品を見るとガッカリする。あくまで私の個人的感想だけれど。

その代表格が『風が強く吹いている』で、映画のラスト、復路ゴールシーンでのハイジの描写が全てをぶち壊してしまったのを見て、それまでの涙が一気に引いた。
これは原作云々ではなく、小出クンのバーターだろう若手女優のあまりの大根加減にも失望させられたけれど。

東日本大震災関連のドラマ、NHKで2夜に渡って放送された『絆-走れ奇跡の子馬』はというと・・・これがまた、映像が原作を凌駕する、というある意味これこそ奇跡、ではなかっただろうか。

そもそもの原作は競馬関連サイトにおいて連載されていたもので、著者は長年競馬に関わっていたとは思えないくらい、ことが都合よく運び、恋愛事情まで絡んで内容としては薄いといってもいいものだった。
それが、だ。ドラマ化にあたって、主人公は若者から息子を失う苦悩の壮年男性に替わり、そこに娘、妻との家族間の齟齬などが付加され、キャスティングも相俟って非常に重厚長大な物語へと変貌を遂げてしまったのだ。

その連載は大幅加筆を経て単行本化されたそうだが、果たしてどの程度ドラマに近づいたのかな?買う気もないからわからないけれど、少なくともあのドラマを見て感動した人がオンラインでの連載を読むことはお勧めできない、と私は思っている。

でも、原作者さんはとても上機嫌で嬉しそうだったなあ。あれだけ内容を改変させられてしまっても、原作としてドラマで名前がクレジットされて、恐らく著作権料というか使用料が入ってくればいい、そういうものなのかな。外野にはわからないけど。

ちなみに、感動的なドラマではあったが、馬のシーンにはいくつか不満点はある。
哺乳瓶での授乳のやり方、とか、当歳が走らないからなんとか走らせたい(これが伏線となるわけだが)と思っていたら、東京に帰ろうとする娘の後を追って初めて走る、とか、小首を傾げたくなる描写にはまあ目をつぶるとしても、最大の問題点はその馬の新馬戦!

・・・ゲートを出たら、停まってしまったのだ。走らない。何だそりゃ。
そこで主人公一家が馬の名を叫び、声援を送る、『走れ!』と。それを聞いてゆっくりと走り出す馬。おい。

・・・まず、発走調教再審査は間違いない。タイムオーバーにもなるし、合わせ技で下手すりゃ1ヶ月あるいはそれ以上の出走停止処分の後、競馬場でのゲート再審査となるはず。
更に言えば、この馬がその後大きいところを狙えるかというと・・・難しいような気がするけれど。

ちなみに、原作ではこの馬、既にGⅠを2つ勝った状態でダービーのゲートに入るところで終わっている。荒唐無稽。ドラマの方が地に脚がついているけれど、それでもこれだもの。

で、原作に忠実という点では両極にあるといっても過言ではないのが、テレ朝でこちらも2夜に渡ってオンエアされた『そして誰もいなくなった』
謎解き部分だけはかなり脚色されてしまったので若干の不満はある。

実は真犯人だけは犯罪を犯していなかった。原作ではそうなっている。しかも、以前にも書いたが真犯人の独白により稀有な犯罪の全貌は明らかになるのだが、私はそれを読み損ねてしまったため、『この本、謎解きしないで終わるんだ・・・』と母に感想を漏らしたところ、
『何言ってるの?』と一笑に付され慌ててそれを読む、というミスを犯してしまった。

ドラマでは真犯人も犯罪を犯しているという設定だ。そこはどうなんだろう。
また、謎解きのパートが長い。そして、真犯人が法では裁けない犯罪者を如何にしてピックアップできたか、これは割愛しないで欲しかった。原作を読んでいない人は首を傾げたくなるだろう。

それでも、最後の一人が「殺害される」までの経緯は驚くほど原作に忠実だった。
日本の、それも現代に設定を置き換えることも自然になされていて、クレジットで脚本家と監督を見て納得した。流石です。

豪華なキャストは誰一人無駄遣いされていなく、適材適所。設定も無理がない。
4時間弱があっという間だった。面白かった。
こういう良質なドラマをもっと見たいな。

ちなみに、渡瀬恒彦氏の遺作だそうだ。かなり病は進んでいたのだろうと思わせるくらい、滑舌が悪く、心なしか視点があっていないようにも見えたが、それも仕方のないことだったろう。

ご冥福をお祈りします。

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ドラマの感想だけです

録画をしておいたので、朝、家事の合間にちょこちょこと早送りしながら見ただけなのだが・・・

「容疑者は8人の人気芸人」

・・・以下ネタバレなので、まだ見ていない→これから見る、という方は(続きを読む)をクリックしないでください。

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何せ最終回フリークなものですから

「セカンド・ラブ」最終回を見た。感想?
―脚本家、途中で面倒臭くなってしまったか?それとも制作サイドからやいのやいの言われて開き直った?それともそれとも、一周回って確信犯?

いや、大石静さんですよね?途中から変わったのライターさん?
だいたい予想どおりの展開を見せたが、予想どおりと見せかけて?!というラストを期待してしまうのは逆に邪道だったのかもしれない。

ラストシーンで、アフリカ、灼熱の太陽の下、日焼けしたヒロインが汗をぬぐう、なんて想像をした私がバカだった、ということにしておこう。

そう言えば「相棒」も最終話が批判の的になっているし(私もあれは酷いと思う。右京さんが気づかないはずがなく、もし本当に気づいていないのであれば身内意識が強すぎて、刑事には向かない人であると言うことになる)、「○○妻」も、まさかまさかのバッドエンド。

「銭の戦争」、大島優子の泣きの演技は正直引いた。彼女はアップには耐えられないし、シリアス向きの顔じゃない。好きだけど。
そしてこちらもラストシーン。あれは何を意味するの?視聴者に考える余地を残して、余韻として付け加えたなら蛇足だと少なくとも私は思う。続編やSPへの布石か?

もう何だか、最近は見たいと思い、実際見始めてから見続けることのできるドラマが少なくなってきた。あ、あくまでも個人的な感想ですよ。
WOWOWも、偶々「硝子の葦」と「天使のナイフ」を見ちゃってるからだけど、あまりに重い。硬質なドラマであることは好感が持てるけど、とにかく重い。

最近はテレビ、すっかりバラエティしか見なくなってしまった。
家人も、いろいろストレスがあるためそういう番組を見たがるから、深夜などのその手の番組をリストアップして録画予約しておくのが常になっている。で、朝、食事をしながら見るのだ。大抵は大笑いしながら。

今は闘病中の猫もいないので、外出も自由にできる。だからといってなかなかハイそうですか、と出かけるわけにもいかない。
そんな中、近々帰省することにした。久々の飛行機。久々の都会。楽しみ半分気ぶっせい半分。

どうしたものかな・・・(謎)

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ドラマの感想なぞ。

結局第二夜は最後まで視てしまった・・・あうううう。

今更ですが、「オリエント急行殺人事件」
原作を読んだのは確か中学生の頃、それ以来多分手にしてはいないので、細かいことは覚えていない(大佐と家庭教師の関係とか。あれも原作通りなの?)
それでも、野村萬斎のあの芝居がかった(芝居だけど)口調とか、若干若さは感じるけれど正にエルキュール・ポワロ。多分前触れ通り第一夜は原作に極めて忠実に作られているのだと思う。

役名も、原作の登場人物の名称由来だから、羽鳥、安藤はさておき昼出川なんて本当によく思いついたものだと感心してしまった。グレタ・オルソンはポワロ曰く「羊を連想させる」(Wikiから拝借しました)→だから八木さん?!いや、でもあのくしゃりとした特徴的な表情は羊をイメージしての演出だ。だって、そんなことすっかり忘れていたのに、あの表情を見た瞬間「なんか羊っぽい」と思わされたのは私だけではあるまい。

あれだけの豪華なキャストが全く無駄を感じさせずにそれぞれの見せ場をごく自然に演じていたこと。適材適所という言葉がぴったり。人間としてはあまり好感は持てないけれど脚本家としての三谷幸喜って凄い人なんだ、改めてそう感じた。

第二夜は完全オリジナル。舞台の裏側をユーモアも交えて描いている。
最初は誰もが躊躇いつつ、次第に一致団結していく様は自然で、そんな中でも自らの情熱が冷めていくことへの怯えを見せた昼出川など、細やかな彼らの心の動きも描かれていたり、時間をかけた丁寧な作りだったと思う。

リアルだったのは、殺人を決行するシーン。
流石に躊躇う公爵夫人(だったと思う)から、ナイフを取り上げ、あっさりと「こういう風にすればいいんです」と藤堂の胸を一刺し。戦場を経験した大佐の凄みが皆から躊躇を奪っていった。そして効果音。あの藤堂の体に刃が突き刺さる瞬間の音で、自分までその場にいるような、臨場感たっぷり。えげつないといえばえげつなかったかも。

ドラマを見ながら、最大の関心事は果たしてその結末が原作通りになるのか、それとも・・・
結局ポワロ、もとい勝呂の最終審判は原作通りだったが、確かにこの話、現代に置き換えたらまず成立しない。

ネットで検索すれば、彼らの氏素性はかなり簡単に割り出せる上に、身分証明には免許証や健康保険証など、身分を誤魔化すことのできないものばかり。乗車時に偽名を使っていた羽鳥夫人はアウト、である。
米原で乗車し、名古屋で下車。さて、防犯カメラに一度も引っかからずこれら大きな駅での乗降が果たして可能か。んなわけない。
だから、映像化するのなら原作に近い時代で、しかも12人(正確には13人)全員が犯人となるのだからそれなりに説得力と演技力のある人をキャスティングしなければならないし、豪華寝台列車の設定を活かすならそれなりのセットも必要になる。最初からお金のかかることがわかっていたドラマ化だったわけだ。

で、肝心の視聴率はと言えば第一夜第二夜共に約16%と高く、でも9時から3時間はちょっと時間的に遅すぎたのではなかったか?
せめて8時からにしてくれれば、私のような録画組は減って、リアルタイムに見る人が増えたのではないかと思うのですが。


さて、今日は家人不在。いない間に片づけモノとかいろいろしたいと思うが果たしてどうなるか。頑張ろう。おー!

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そういう時期なんですね

最終回ラッシュの中で、毎週楽しみにしていた2本のドラマがどちらも偶々フジテレビのそれだったことにちょっとびっくり。
ここのところあまりフジテレビとは縁がなかったので・・・
1本は今日の「昼顔」、そしてもう1本は言わずと知れたあのキムタクのドラマ。

先に最終回を迎えたのはキムタク「HERO」。
・・・最大の山場である法廷のシーン。
お恥ずかしいことに(?)録画してあったのを2回見直してしまった。
いや、キムタクがキムタクたるゆえん、というか、冷静に見ればルックスはさほど魅力的ではない。彼の魅力は別の所にあるのだと改めて思い知らされた次第だ。

ただ気になったのは、キーマンになった証人の元検事。
彼は弁護側の証人として出廷し、淡々と過去の起訴を正しいものと証言したのち、久利生検事のスピーチ(でしょ、あれ)によって翻意、検察側の主張に沿った形での証言を始める、という設定なのだが、「懺悔するために出廷した」なら何故あそこまで久利生に語らせるまで沈黙していたのか。

そりゃね、ドラマですから。いきなり弁護側の質問を遮って、あたしゃ間違ってましたよ、なんてやっちまったらあのシーンは1分くらいで済んじゃうしね。
でも、話題になっている鍋島さんのお墓の前での線香吹き消しシーン(あれはスタッフが悪い。あの歳でマナーを知らない演者も演者だが、周りの誰もが気づかないなんて・・・)や、これは私が気になった、麻木事務官の被疑者を「こいつ」呼ばわりとか、ツッコミどころ満載なのは如何なものかと。
面白かったからこそ、もう少し細部にわたって気遣いのあるドラマ造りをしてほしかった。とても残念。

さてさてもう1本の方はと言うと・・・もうグッダグダだよなあここまで。今日がいよいよの最終回。
大好きな脚本家の作品だから期待していたのに、録画しておいて後追いしているけれどもうどうにもこうにも、誰にも感情移入できないドラマも珍しいわ。

上戸彩ちゃんは意外にこういう役柄が違和感なくハマる。それにだけは素直に感心できたんだけど、他の、特に北野の妻のキャラがあまりにステロタイプで視ていて不快。
それでもあれだけグッダグダのド~ロドロに展開したお話をどう1時間(ドラマ内時間はさておき)で収束させるのかが最大の焦点でしょう。

さてこの2本のドラマ。
リアルタイムで視ていないとさり気なく書きましたが、実際そういう人少なからずいるのでは?

どこぞやの新聞か雑誌で録画視聴率も調べる、なんて記事も目にしたけれど、それをやるとずいぶんランキングなんかも変わってくるのではないだろうか。
これ書くと複雑な気分になられる方もいらっしゃるだろうけど、録画してから見る方が、CM飛ばすことができたり、聞きそびれたセリフを聞き直したりできてよかったりする。
最近は家人も同意見で、バラエティなんかリアルタイムで見られる時間帯であっても録画して翌日視るようになってしまった。

今じゃ録画したものをタブレットやスマートフォンに持ち出して視られたりするんでしょ?
いつまでもリアルタイムのそれだけじゃなく、録画分まで加算した数字を調べるべきではないでしょうか?なんてね。

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秋、ですねえ

気分的に滅入ることばかり―公私ともに。公、の方は私には如何ともしがたいことなので主に家人が辛いのだけれど、私、の方は自業自得。タイムリミットが迫ってきたことを認めざるを得ない。手放すものの大きさを今更ながらに思い知らされている感じだ。

閑話休題。

昨日も不毛な外出から帰宅し遅い食事を終えて、何気なくテレビをザッピングしていたらWOWOWの1チャンネルで手が止まった。

タイトルだけは知っている。でも興味のないジャンルだったし主演の二人も特別好きではないから観たことはなかったアメリカ映画だ。
他に何も見たい番組がなかったこともあり、半分小馬鹿にしつつ、最初の数分だけでも見てみよう、と意地悪く思いながらリモコンを置いた。

・・・でも、何故かチャンネルを替えられない。
時間的には残り40分くらい、と言ったところからだったと思うが、急いでタブレットでこの映画のストーリーを探し、これまでに何が起きていたか(?)を頭に入れる。
結局そのままにラストまで観てしまった。

ストーリーは言っちゃ何だが陳腐。財力があり見た目も良いが恋愛面では人間味に欠ける初老の男が余命いくばくもない若く美しい女と愛し合って改心(?)、人を愛するということを知る。もう最初から最後までベタな展開の連続、典型的な恋愛映画だ。

ただ、美しい。目を離せないほどの美しさ。
これはストーリーを抜きにしても、ニューヨークのイメージフィルムなのではないか、と思わせるくらいこの街の様々な表情を切り取っているように思えてくるのは、多分脚本ではなく撮影監督の力なのではないかと。

最も印象に残ったのは、倒れたヒロインの執刀医がヘリで夜の街をオハイオからニューヨークまで飛んでくるシーン。
いわば脇役のはずのこの医師がまた強い存在感の持ち主で、あのシーンだけ見ていたらあたかもこの人が主人公で、ブラックジャック的な映画?!とまで思ってしまいそう。
彼の苦悶に満ちた表情にニューヨークの美しい夜景がオーバーラップし、静かな中に迫力のあるBGMが盛り上げる。

手術の結果は敢えて言葉にはされず、長い時間を経て悔しげな表情の医師に、信じて待っていた家族と恋人が泣き崩れると言うこれもまたベタな幕引きとなった。

で、最後のカット。一緒にボートに乗っている女性は彼のために難手術が可能な執刀医をリサーチしてくれていたのだが、どうやらあまり顧みられることのなかった彼の娘のようだ。
初めて真剣に人を愛したことで、父親としての心も取り戻した、ということらしく、この娘の子、つまり自分の孫を胸に抱いている姿を、亡き恋人はどんな思いで見つめているのだろうか。

基本的に映画はあまり好きじゃないけど、偶に観ると意外に面白かったりする。
この映画も、多分制作サイドの求めるそれではなかったと思うけれど映像の美しさ(だけ?!)に感動した。
折角WOWOWに加入しているのだから、もう少し積極的に映画、見てみようかな。そんなことを思わされた1本、「オータム・イン・ニューヨーク」でした。

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