彼女が消えた日
今日はみーちゃんの命日。あの日から丸4年経ったのだ。早いと言えば早い(ん?)、でももっともっと遥か昔の出来事だったようにも思える。
あの日はどんな天気だったっけ。
最期の時間はもう日も落ち切っていて、家人の運転する車の後部座席で暗い道を滂沱の涙を落としながら彼女の亡骸を抱いて帰ってきたことは鮮明に覚えている。
しかも、部屋に入った途端、つけっぱなしで出かけてしまったテレビから彼女のテーマ曲が流れてきたのだ!
終わりの近づいたことを知らされてからすぐ発売された曲。サビの「ガラスの靴で 踊る…」という部分をCMで聴いた時は背筋がゾクッとした。
あまたの猫が世にいて、その名をつけた曲がある猫はそう多くはいまい。
それも、末期を迎えようとしていたその時に、だもの。何の意味もない偶然、とは到底思えなかった、あの時は。
閑話休題。
用意してあった紙製の棺がこれまた誂えたようにぴったりの大きさで、そこに彼女をそっと横たえたら恐る恐る陽太が近づいていってにおいを不思議そうに嗅いでいた様子も忘れられない。
棺を枕元に置いてベッドに入ったのはもう日付も変わった頃で、不思議なことに外で猫の声が聞こえた、と当日のエントリでは書かれていたが、確かに聞こえた。それも記憶に残っている。あれはみーちゃんの声だったのかな。きっとそうだ。彼女のことだもの。それくらいは容易にできるはず。
アニマルコミュニケーションとやらをお願いして彼女の今、を聞いたのはもう2年ほど前のことか。
私を愛していてくれたこと、光になろうとして(?)いるそうで、もう私の傍にはいない、などといったことを教えていただいた。
ただ、ひとつ腑に落ちなかったのは、彼女の愛息、かののヒゲのこと。
彼女は生前からかののヒゲが生えることを許さなかった。でも彼女がいなくなってしまえばきっとかののヒゲは伸びてくる、そう思っていたのに何故かいっかな生えてこないのだ。
その疑問をコミュニケーターさんに尋ねてもらったら、やはり彼女がかじっていた(?!)そうで…
超常現象を信じない身にはありえない!と思わず叫びだしたくなったものだが、それはそれで楽しい怪談(?)じゃあないか。
が!4年経った今でもかののヒゲは生えていない。これはどういうことなのだろう。
…みーちゃん、まだ近くにいるの?所謂「成仏」はしてないの?
それならいっそ祟られたい。みーちゃんにだったら憑かれたい。
ああ、この時間はもう家で泣いてたな。みーちゃんは短い生を終えて、でもまだ温もりは残っていたっけ。
本当に好きだった。誰よりも。何よりも。
今日はミモザイエローのバラをあしらったアレンジと、ししゃもじゃ芸がないので高級魚キンキを煮付けて、いただきものの小さいケーキを用意した。
一緒に食べてたよね?美味しかった?
会いたいな。会いたくて会いたくて会いたくて。
みーちゃん。生まれてきてくれて、私の傍に来てくれてありがとう。本当に、ありがとう。
私がそちらに行くまで待っててね。早く会いたいけど、こっちにもいろいろいるのよ、猫。世話のかかる連中ばかりなので置いてはいけないの。
陽太の輸液。今日は途中で逃げ出されてしまい、針をひとつ無駄にした。
抱っこして頬を撫で続けるのだが、少しでも私が気を逸らしてテレビでも見やればすぐに逃げようとする。敏感だ。気持ちが離れるとすぐわかるらしい。
黒猫クロの皮膚病はかなり良化したが、前回もそうだったけれど薬を止めると元に戻ってしまうのだ。
ステロイドだし、あまり飲ませ続けたくはないけど、先生曰く、「1年以上飲んでも副作用なぞでない。大丈夫」な量だそうで、ここはもう少し飲ませることにしたい。
さあ、今日は早くベッドに入ろう。
彼女の遺骨とイラスト、写真、を枕元に並べて、どうか彼女の夢が見られますように。
大好きだったし、今でも愛してる。みもざ。ママはあなたに会いたい。淋しいよ。